2003年8月16日(土)
夏休みの締めくくりに
滝沢村 相の沢キャンプ場


 夏休みは一応とれた。ただ、我が社では夏休みというものはなく、年に2回とれるまとまった休みを夏に選択すれば夏休みになるし、秋に選択するならば秋休みに化けるだけのことだ。

 仕事の都合上、いわゆるお盆休みは基本的に「ない」のだが、今年は偶然お盆休みと重なった。ただ、これは私にとって実に迷惑なことなのだ。

 お盆休みには、白痴化が進んでしまった国民が一斉に移動しようとする。その結果、末期的ともいうべき混雑と、交通費の高騰が日本国中で発現する。だから、私はこれまでお盆の時期を避けて休みを取っていた。

 基本的に自分の意志で休む時期を選択できるが、私は決まった仕事のために制限を受ける。だが、今回の休暇はこれでも希望通りに取れたのだ。沖縄の祭りを見たかったので、その日程にあわせて休みを取った。すると、その祭りがたまたまお盆にかかってしまった。

 私が見たかった祭りは「エイサー」。旧暦の沖縄のお盆には、このエイサーが欠かせない。念仏踊りがもとになった行事で、太鼓や三線の音色にあわせて男女が踊りながら深夜まで集落を練り歩く。沖縄本島中部で盛んに行われており、多くのファンが県外にもいる。

 夏の休暇は1週間ほど沖縄の安宿に滞在して、エイサー見学&取材に費やした。学生時代から好きで見ている伝統の催しを今年もたっぷりと堪能することができた。
 楽しい沖縄の日々も過ぎ、満足して岩手へ帰ってきた。亜熱帯から北日本へ、一気に北上した。いきなり仕事に戻るには衝撃が大きすぎる。リハビリが必要だと思って、勤務再開の少し前に帰ってくるスケジュールを組んでおいた。

 夏休みの最後にすること。当然あれである。キャンプである。キャンプをおいて他にない。行き先は…遠出も考えたが、何となく近場になってしまった。いつもの相の沢キャンプ場にした。

 今回は、ユニフレームのネイチャーストーブを試してみることにしていた。木の枝や松ぼっくりを拾ってきて燃料にする。下から入った空気を上昇気流に変える煙突効果とやらで、点火も簡単。折り畳んでおけば実にコンパクトで、道具かごにずっと入れていても邪魔にならない。

 テントの近くにコンクリートの板というかブロックの破片のようなものが落ちていたのでその上で使ってみる。



 めしも炊ける。
 ちなみに、この鍋の中身はふつうの米と水ではない。どこでも炊飯器というプラスチックの円筒が入っている。

 この円筒は空洞になっていて、表面には小さな穴がたくさんあいている。円筒は二つにパカッと分かれるようになっている。

 その中に米をすり切りぴったり入れ、円筒を閉じてふたをする。そのまま水の中で振って米を洗い、吸水させる。鍋に充分な湯が沸いたら、その円筒をそのまま放り込んでしまう。15分ゆでれば上手にご飯が炊けるのだ。失敗しないから安心。
 肉も焼ける。



 このフライパンは、100円ショップで購入したもの。何度か使って、油を染み込ませてある。よく熱して油を引き、スーパーで調達してきた安い輸入牛を焼く。味付けは、ニンニク塩こしょう。これ一本で充分美味しく焼ける。
 一人キャンプでは基本的に粗食だが、たまにはこうして豪勢(に見える)ディナーもいい。それにしても、ステーキを食べるというのは字面でみるとそれなりの気合いが感じられるが、よく見るとそうでもない。

 燃料はそこらへんに落ちている木の枝や松ぼっくりなどだし、安い輸入牛を100円フライパンで焼いているのだから実際はとても安上がりだ。

 金をかけずにいかに楽しむか。この夏もたくさんの家族がキャンプを楽しんだことだろうが、料金が高い、駐車場みたいな区画型キャンプ場でひしめき合う窮屈なキャンプしか知らないのであれば気の毒というほかない。

 私は無料で人が少なくて静かなキャンプ場で、金をかけずにこんなにも贅沢でこんなにも静かな時間を過ごしている。

 星こそ見えない曇り空だったが、のんびりくつろぐことができた。週明けからは再び激務が始まる。岩手の空気に再び慣れるためのリハビリキャンプが終わった。

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