2004年7月3日(土)
S君とさよならキャンプ
室根村 室根山



 転勤を控え、この地にいられるのもあと1ヶ月。心残りがないように、週末はせっせと室根へ通う。しかし、もしかするとこれが最後になるのではないかというおそれに似た気持ちが毎回わき上がる。結果的に、この日がS君とのひとまず最後のキャンプとなった。




 パラグライダーの練習を終え、一足先にテントを張る。おきまりの原っぱ。ここは開けていて、空が近くて、星がきれいで、本当にいい「キャンプ場」だった。
 S君は夜になってから合流する予定だ。こちらは入浴施設の営業が終わらないうちに風呂を済ませておくことにする。


 風呂からの帰り道、道路脇に出ている沢水をくんでいく。さすがにそのまま飲むのは心配だが、洗い物などにはいい。冷たいので顔を洗うのにもよい。例の原っぱには水道がない。冷たい水でタンクを満たし、テントへ向かう。山麓の夜は涼しいので、タンクに入れておいても朝までそこそこ冷たいままだろう。

 楽しい夜だった。キャンプ日記のノートには何を食べたかなど詳しく書いてはいないけれど、あれこれ語り合った。転勤とはいえ、死ぬわけではないのだからまた会えるさ。空には夏の星座が輝き、夜は静かに更けていった。


 朝。強い日差しで目が覚める。それなりに日が昇っている。S君はまだ寝ているようだ。朝の空気を楽しみに、あたりを散歩する。足もとの草は朝露に濡れていて涼しげだ。気持ちのよい草の香りが、歩く足取りにあわせて漂ってくる。



 昨夜から今朝にかけてよく晴れていた。緑の大地に緑のテント、そして青い空と白い雲。わかりやすい色づかいが目にも心地よい。まだ夏空の雲ではないが、心は夏に近づいていく。


 S君も起きてきたところで朝食の支度をする。
 最近注目しているのはリゾット。水を入れて5分ほど煮るだけで完成、という商品が売られている。ふつうに売り場を探しても見つからないことが多いが、なぜか私が手にする商品は「賞味期限が近づいたので半額!」とかそういうのばかりだ。

 安いのは大いに結構、賞味期限もあまり気にしない。賞味期限が過ぎたものを食べて体をこわしたことがない。さすがに生ものは避けるけれど、もともと保存に向いた食べ物ならばお構いなしだ。ヨーグルトでも、未開封であれば1年オーバーくらい平気だ。

 リゾットの話に戻る。袋は軽くじゃまにもならないので、見つけたらまとめて買っておく。300ccの水をコッヘルに入れ、袋の中身を丸ごと投入して煮るだけ。特に材料を足さなくてもよいし、おいしい。しかもリゾットなので食べ応えもある。



 食べている途中で、昨夜の「めんたいこ」が余っているのを思い出した。何にでも合う(と私は思っている)めんたいこ。リゾットにぶちこんで食べる。うまい。リゾットのチーズ味とも見事にマッチする。図らずも豪華な朝食となった。


 朝食を終え、片づける。
 次にこの原っぱでキャンプをするのはいつになるだろう。これからしばらくはS君がここで「ひとりキャンプ」を楽しむことになる。いいなぁ、この原っぱは本当に条件がいいぞ。S君のソロキャンプライフに幸あれ。

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