2005年5月4日(水)
もう一泊! 静かなたき火キャンプ
滝沢村 相の沢キャンプ場
 天気がいい。心地よい春の風。うれしくて、もう一泊することにした。
 昼過ぎ、近場でひとっ風呂浴びて買い出しに行く。というのも、近郊の親類縁者たちが「バーベキューしたい」と言い出したらしいのだ。二人で過ごす時間を少し保留にして、わいわいとバーベキューを楽しむことになった。ほどなく、幼児を含む10人弱が集まった。

 私はもっぱら「もてなす側」だ。焼き鳥の串、豚トロ、とうもろこしなどを準備した。かいがいしく肉を焼き、皿に乗せて配る。サービス精神を発揮して、がんばってみた。しかし、こちらはそもそも二人キャンプ用に小さな炭火焼きの道具しか持ち合わせていない。思いがけない集団バーベキューになって収拾のつかない状態に陥ってしまった。ともあれ、穏やかな陽気のなか、皆たくさん食べて満足した様子で帰って行った。めでたしめでたし。

 腹も満たされたことだし少し昼寝をすることになった。テントの中で休む。テントの外では家族連れのキャンパーらが楽しそうに思い思いの時間を過ごしている雰囲気だ。
 夕食は昼の集団バーベキューの残り物だ。大勢で飲み食いをすると、どうも私が残飯処理の役回り。宿命か何かなのか。ぼやいても仕方ない。さっさと食べて、たき火タイムとする。



 あたりに落ちていた木の枝を集めておいた。それを「ネイチャーストーブ」に放り込んで燃やす。夜中までたき火をして遊ぶつもりもないので、それほど大きな火にはしない。



 テーブルにある炭火グリルの上で梅酒を温めてみたが、炭ももう終わりでなかなか温度が上がらない様子。早々と諦めて、ネイチャーストーブの上に移すことにした。



 あたたかな熾火が静かに息づいている。

 2130をまわり、キャンプ場はひっそりと静まりかえっている。まだ起きているのは大人だけだ。昼間遊び回っていたであろうこどもたちは寝てしまったらしい。あちこちのテントのそばで、ランタンの明かりを囲んで静かに語り合う人の姿が見える。

 ゆっくりと燃える炎を見ていると心が落ち着いていく。昼間のにぎやかさがうそのようだ。






 夜になると気温も下がってくる。火のそばにチェアを並べて座る。相方はダウンジャケットにブランケットで完全防備。5月とはいえ、岩手では夜になればこの気温だ。



 梅酒は、相方の実家で作ったものだ。10年とか20年というものもある。とてもまろやかでやさしい甘さが広がる。今回は梅の実もいくつか出して持たせてくれた。



 しばらく星が出ていた空は、やがて曇ってしまった。風は冷たい。
 温まった梅酒を少しずつ飲む。体が温まり、ぼんやりと心地よい酩酊が訪れる。酔いと疲れもあったのか、相方は肘掛けにもたれて眠ってしまった。すうすうと小さな寝息が聞こえる。



 最後の夜が更けていく。火が小さくなり、近くにいてもあまり温かく感じなくなった。
 相方を起こして火を消し、テントに入る。寝袋に潜り込んで眠った。
 早く寝た分、翌朝は早起きだった。手軽なインスタントのリゾットを作って食べた。アツアツの朝食がうれしい。10時には撤収を終えてキャンプ場をあとにした。久しぶりの相の沢。久々に里帰りをした気分で、心は満たされていた。シャワーを浴びて荷物を片づけ、空港に出向いて北へ向かう飛行機に乗り込んだ。大型連休はあっという間に過ぎていった。

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