2005年8月4日(木)
早朝、謎のボートレース
釧路町 来止臥野営場
 少し早いが夏休みとなった。しかし、出勤してちょっと用を済ませ、自宅でシャワーなど浴びて出直す。向かったのはいつもの来止臥野営場。現場到着は18時を過ぎてしまった。



 テキパキとテントを張って、無線道具も展開する。



 ヘッドセットは航空用のMS50。短波で遊ぼうとしたが、交信は成立しなかった。こんな日もあるか。
 夕食がまだだった。遅くなってしまった。



 暗いなか、LEDランプの光のもとでリゾットを作る。青白い光。残念ながらうまそうに見えない色合いだ。



 イカ焼きそばも買っておいた。
 こんなに食べて委員会。すぐ寝るわけにも行かず、洋上航空管制や短波放送を聞き、本をめくるなどして時間を過ごした。
 25時すぎ就寝。
 外が明るくなって目が覚めた。まだ5時前だ。



 東の空が明るい。海面はもやに覆われていて、水平線もはっきりしない。夏の釧路特有の海霧だ。



 西に目をやると、さらに濃い霧がかかっている。



 用足しなどして、テントに戻る。ひんやりした空気が気持ちいい。



 明け方にかけて雨が降ったようだ。テントのフライシートが濡れている。
 まだ朝早い。もう少し眠ることにする。いずれ太陽が高く昇ったらテントの中は暑くなって起きる羽目になる。
 5時25分頃、異音で目が覚めた。
 どこかで道路工事でも始めたのだろうか、複数の重機がエンジン音を立てているように聞こえた。
 建設業の朝は早いなぁ、などとぼやきながらテントを出る。

 そこで見たものは、意外なものだった。



 船外機付きの小型漁船だ。海面を飛ぶように疾走している。乗っているのは2人か。

 しかし、聞こえていた音はもっと大きい。すぐ後ろに続く船がある。



 何だ何だ、朝から競艇か。
 小型船が競うように走り、もやのかかった海面を切り裂いていく。



 西に目をやると、さらに多くの船が後を追う。数えてみたら40隻くらいあった。
 西にあるのは…昆布森の港だ。

 ようやく合点した。夏の昆布漁の船なのだ。早朝、ヨーイドンで出漁するのだ。合図で一斉に船を出し、良質の昆布がたくさん取れる漁場を目指す。そのポイントは早い者勝ちだ。



 船団は、エンジンのうなりをなびかせながら、東の海域へと去っていった。
 さらにウトウトして、9時頃朝食を取る。



 【かんたん炊飯器】
 小さな穴のあいた、500ml缶くらいのサイズのプラスチック容器。その中に米を入れ、水の中で振って研ぐ。沸騰した湯の中に放り込んで15分ゆでればおいしいご飯が炊ける。水加減不要。



 水は水タンク。フニャフニャしているので空っぽの時はコンパクトになってよいのだが、何かの拍子にどこかにぶつけたらしく、穴があいてしまった。だめじゃん。



 ご飯が炊けるまで、周辺を散歩。
 数十メートル離れた森が見えなくなりそうな霧。



 岬の方も見えなくなってる。空は晴れていて日差しがあるのに。
 ひんやりうるおう、霧の朝。

 ご飯が炊けた。
 温めたレトルトのカレーをかける。



 朝からカレー。うまいうまい。
 午前中、のんびりして帰途につく。
 帰り道、まっすぐ帰るのも芸がないので、脇道に入ってみたりする。



 釧路市街に向かう途中、海側に細い道がいくつか延びている。
 その一つをたどってみると、急な坂を下った先に海があった。海岸まで低い山が迫っていて狭い陸地に小さな集落が点在している。

 昆布などの漁を生業としているのがよくわかる。どんな人がどんな暮らしをしているんだろう。今回は誰にも会わなかったが、興味がわく。



 別の脇道に入ると、高台に出た。
 眺めのいい岬にアンテナが立っている。携帯電話のものと、漁業関係の無線か。防災無線の中継局もあるのだろうか。外観からはハッキリわからない。

 すぐ近くには砂利を敷き詰めた広い土地がある。干場(かんば)と呼ばれるところで、昆布を天日に当てて干す場所だ。そこで、昆布漁師らしき男性が今朝取れたであろう昆布を広げていた。道東の夏の風景にふれた旅だった。

戻る